企業が求めるマネジメント能力の真実

よく、
「課長になったら人が変わったよね」
「部長になったらなんだか判断が狂ったようにみえる」

なんて聞くことがあります。
これはその人の名誉欲や向上心がうまく噛み合わないことが原因と思われがちです。

しかし実はマネジメントをする人間が自分のマネジメントキャパシティの限界を理解していないことによるところが大きく原因します。

係長のときに一対一で四、五人と接していた人が課長になって部下が十五人になった時に、同じように一対一で接しようとすると、業務領域が広がったにも関わらず今までと同様のスタイルをとろうとし負荷がかかります。
こういう状態が続くと、次第に判断がくるったり、感情的な行動が増えたりし、冷静に正しい判断をすることができなくなります。

こういった症状がでてくる場合、その理由はマネジメントキャパシティに限界があるという前提で、大きく2つあると思われます。

1つはマネジメントということがそもそも何を求められているか理解していないからです。
マネジメント職は会社をドライブするための意思決定が仕事で、結果として全責任をとることが求められます。タイトルは伊達ではないわけです。
意思決定以外の仕事は可能なかぎり他の人間がやれるような仕組み作りをすることが必要です。

このような取り組みをせずに感情的に部下を責め立てたり、不測の事態が起こった時に部下に責任をおしつけているようなケースがこれに該当します。

もうひとつは部下不信です。本来右腕、左腕と頼むべき人材を信頼も育成できないからです。
マネジメントは結果責任とともに育成責任を負うことが求められます。
例えばスーパー営業マンがマネジメント職についたときにおこりがちです。
「なんで俺と同じようにできないんだ!」「俺が結局やらないとだめなんだ」という感情的な反応があったり、部下が何人増えても評価業務を全て自分でやろうとしたりします。

こうした場合の多くが、結果的に信頼を失い、成果実現の前に組織が壊れてしまいます。

兆候としてはメンバーに休みがちなひとが増えたり、可能性があると思われる人材に十分な力を発揮させることなく、離脱する、または排除するということが起こります。
そして、これを組織メンバーの誰もが不自然と感じなくなってしまうようなシーンがよく見受けられます。


ひとりの人がしっかり目を届かせられる範囲はせいぜい四、五人です。
昔自分で会社の代表取締役としてマネジメントしていたときは30名くらいの人数を預かっていましたが、しっかり把握できたのは6、7人が限界だったと思います。

一度自分のマネジメント能力についてゆっくり振り返ってみてくださいね。