リストラ候補は誰かが笑う裏基準で選ばれている?  リストラ宣告第2のウソ


『いったいなんで私が。。』
『いやそれは会社の状況もわかっているとおりで大変なんだよ。。』
『でも私以外は誰がいるんですか?』
『いや、まあ、それはね』

なんてあまり意味のないやりとりは、リストラ候補者の心の叫びと思えるのでし
ょうが、疲れてしまうだけです。
一度クビにすると決めると、会社は淡々としてきます。

さて、このやりとりにも出てきた候補者選定。
会社はこの候補者をどうやって選ぶのでしょうか。

会社のリストラはほとんどの場合、複数回にわたりますので、最初のリストラに
限ってお話しすると、実は“好き嫌い”に落ち着くことが多いことが現実です。
リストラも複数回になると、いよいよ追い詰められた状況での宣告となりますので、
誰がみても「え?なんであいつが?」と言われるような人が候補者になってしまう
ことがあります。

リストラは客観的、公平な基準では選ばれないケースがほとんどなのです。

確かに、客観性、妥当性のアリバイをつくるために人事がデータを整理したり、
意見をいったりします。

しかしギリギリのところでは、現場の責任者が経営陣から言われるのです。
『君が少ないメンバーでも責任を持って結果を出しなさい』

で、あればそこは感情の世界。

使いやすい人間を残すのがサラリーマン、ということになります。
普段から使いづらい嫌いな部下は、正当な理由をつけて追い出せるいい機会になるのです。

当然中間管理職は経営者ではありませんので、経営のために誰を残すか、なんて興味がなく、会社がつぶれさえ
しなければよいのです。
100%私情が入らずに選定することはほとんどありません。

しめしめ、というわけです。

したがって、人間関係がうまくいかない場合は、いくら頑張っているつもりでも
リストにのり、人事がその理由を作文することになるのが現実です。

少なくてもリストラ実施の可能性がある会社のサラリーマンでは常にこの可能性
を頭にいれておくか、会社がどんな状況でも、やめないでほしい!と言われるだ
けのスキルと成果の両方をもっておく必要があります。

また動揺のあまり『あの私のほかには誰が?』
ときいても答えることはありません。

現場の人事経験からすると、
リストラ候補者のほぼ100%が「自分の他に候補者がいるか」ということを質問します。

わたしが候補だったらあのひともそうじゃないとおかしい!

という言うつもりかどうかは別にして、ギリギリのところでは能力スキルや結果だ
けで切り分けているわけではないのです。

そんなわけですから、仮に聞けたとしても、そこに妥当性を見出すことはなかな
かできないと思われます。

これがリストラ候補選定の現実です。

もし読んでいるあなたがサラリーマン気質の強い会社にいたとすると、
島耕作気取りでつっぱっていると、いつ候補者になってもおかしくありません。

つっぱるスタンスを取るなら、いつ転職してもいいという覚悟と、市場でいつでも自分を買って
もらうことができる位のスキルや経験を持つことです。
あるいは独立して食べていけるだけの見込み客を今からつくりはじめてもよいかもしれません。

つまり、普段は会社の悪口を中途半端なスタンスで過ごし、いざリストラの候補になったときに、
あわてて悲壮感を漂わせてももう遅いと言うことです。

ベンチャー企業に在籍し、”自分はサラリーマンではない!”と自負している方もいらっしゃるでしょうが、
ほんとにベンチャーと名乗るだけの気質を持っているでしょうか。
アントレプレナー的な響きだけをとらえて酔ってしまい、自分の力で、あるいは自分のお金でビジネスを
起こしていくというベンチャー的なスタンスではなく、上記のようなサラリーマン的なスタンスだと、
結局は同じことが起きます。

では、いざリストラ候補になってしまったら、どんなスタンスで臨むのか。

自分の人生のこと、家族のこと、転職回数が多ければ、キャリアのことなど様々なことが浮かび、
できるだけ穏便に対応することで、何とかいい条件を引き出そうと考えるでしょうか。
あるいは、粘ってぎりぎりまで残りつづけ、景気が回復するタイミングを待つでしょうか。

よく聞くアドバイスには、実は逆の結果を引き起こしてしまうウソがあります。
次回は第2のウソについて書きたいと思います。